正義はまだ果たされていない──元朗721事件を忘れない

7月21日は、香港・元朗駅で発生した白衣集団による襲撃事件からちょうど6年目の日でした。

2019年7月21日、香港の新界西部に位置する元朗駅で、白い服を着た暴力団風の集団が、無差別に市民を襲撃するという衝撃的な事件が起きました。彼らは駅構内に押し入り、地下鉄を利用していた一般市民、帰宅途中の女性、取材中のジャーナリスト、さらにはデモ帰りの若者などを、鉄の棒や木製の棍棒などで執拗に殴打しました。その結果、45人以上が負傷し、うち数名は重傷を負いました。

当時、襲撃は数十分にわたって続き、被害者や目撃者から何度も警察に通報がなされていたにもかかわらず、警察は現場にすぐには現れず、暴力行為を事実上放置する形となりました。事件後にようやく現れた警察官は、加害者を逮捕するどころか、被害者側に対して事情聴取を始めたことも強く批判されました。この出来事は、「警察と暴力団の共謀疑惑」を強く印象づけ、多くの香港市民にとって、法の支配が崩壊した象徴的な事件として記憶されています。

さらに深刻なのは、事件から6年が経過した現在に至っても、襲撃に関与した加害者の大半が未だに処罰を受けていないことです。これまでに起訴されたのはわずか13人のみであり、当日の映像に映っていた他の数十名の加害者は未だに逮捕されておらず、事実上自由の身となっています。さらに、香港政府は事件の背後関係や組織的な計画の有無、警察との癒着の可能性について、一切の正式な調査を行っていません。なぜこのような無差別襲撃が計画され、なぜ警察は通報を無視し、現場に現れなかったのか――そうした核心部分には、いまだ明かされていない闇が残されたままです。

私たちはこの日を忘れないために、昨日、中野駅前にて「元朗襲撃事件」の貴重な映像をストリートビューイング形式で上映し、通行人の方々に当時の様子を伝える活動を行いました。立ち止まって映像に見入る方々の多くが、「こんなことが現代の文明社会で本当に起きたのか」と衝撃を受け、言葉を失っていました。

また、同時に私たちは、セブン&アイ・ホールディングスに対し、台湾・香港の表記を是正するよう求める署名活動の呼びかけも続けました。中国政府による情報操作や歴史の書き換えが進む中、企業による不適切な表記はそれを追認することにつながりかねません。

香港の痛みを風化させないために、不正義をなかったことにさせないために、そして自由と人権の尊厳を守るために、私たちはこれからも声を上げ続けます。

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「国境を越えて、憎しみを越えて──自由のための共同行動」