中国の人権抑圧と戦略的行動――日本の制度対応を考える
2026年2月25日
アリック・リー
レイディー・リバティー香港 代表理事
「中国の民族自治制度とウイグル・ジェノサイドの実態」シンポジウム
眾議院議員会館(東京)
本発言は、2026年2月25日に開催された「中国の民族区域自治制度とウイグルジェノサイドの実態」シンポジウムにて発表されたものである。
皆さま、こんにちは。
レイディー・リバティー香港代表理事の、アリック・リーと申します。
本日は、「中国の民族区域自治制度とウイグルジェノサイドの実態」シンポジウムにお招きいただき、誠にありがとうございます。
まず、私はここに、ウイグルの人々への明確な連帯の意思を表明いたします。
ウイグルで構築された監視と抑圧の「インフラ」は、すでに香港という金融都市に輸出・適応されています。
中国共産党による抑圧は、もはや一部の民族や地域の問題ではありません。
大中華圏全体、そして東アジアの安全保障秩序に直結する構造的な問題です。
今月、香港ではジミー・ライ氏が国家安全法により20年の実刑判決を受けました。
これは単なる司法判断ではなく、法を武器として用いる「法律戦」であり、
「抵抗は許されない」という国家意思を国内外に示す政治的シグナルです。
とりわけ重要なのは、習近平氏が前例のない三期目に入り、権力集中が固定化された点です。
同時に、中国国内では不動産不況、地方財政の悪化、若年層失業など、
統治の正当性を揺るがしかねない圧力が蓄積しています。
権威主義体制では、国内不安を対外的な強硬行動へ転化する傾向が繰り返し見られます。
この文脈で考えれば、今後2年から4年という時間軸で、台湾に対する軍事的現実化が試みられる可能性は、現実的な政策リスクです。
台湾有事は、日本有事であり、東シナ海を含む日本の主権と安全に直結します。
それにもかかわらず、日本が中国の抑圧を
中国国内の人権問題」としてのみ扱い続ける時間は、もはや残されていません。
中国の人権侵害は、改善するどころか、制度化・高度化・越境化してきました。
高市総理が指摘されているように、
中国は、民主国家と同じ前提で扱える国家ではありません。
中国では、社会、経済、外交、安全保障、人権が分離して存在しているわけではなく、
すべてが共産党体制の維持という単一の目的のもとに統合されています。
人権侵害、経済的威圧、越境弾圧、軍事行動は、いずれも体制維持のための政策手段です。したがって日本は、中国の国内人権侵害、対外行動、経済的圧力、軍事的拡張を、
個別の問題ではなく、一つの戦略的行動体系として捉える必要があります。
この観点から、私は、「人権問題担当補佐官」の再設置を、今後の具体的対応に向けた第一歩として支持します。
同時に、日本には、与野党を横断する恒常的な「対中戦略委員会」を設け、
人権、安全保障、経済、越境弾圧を統合的に分析し、
時間軸を意識した政策判断を可能にする枠組みが必要だと考えます。
日本には、もはや様子を見る時間はありません。
中国を断片的にではなく、一貫した戦略的主体として直視すること。
それこそが、国会が今果たすべき重要な責任だと考えています。
ご清聴、誠にありがとうございました。