雨のなか、250名と過ごした夜――八九・六四天安門事件37周年 記念講演会・追悼キャンドルナイト 開催報告


2026年6月3日(水)、台風ジャンミーが東京を直撃するなか、八九・六四天安門事件37周年記念展《香港・六四・国家安全――記憶が罪に問われるとき》の関連プログラムとして、記念講演会と追悼キャンドルナイトを早稲田奉仕園 スコットホールにて開催しました。

雨をついて、250名を超える方々がお越しくださいました。1階の客席だけでなく、2階の回廊までびっしりと埋まり、立ち見の方々も多数いらっしゃいました。

そして当夜、私たちは、いま香港・大欖(タイラム)女子監獄に収監中の鄒幸彤さんから本展に寄せられた声明文を、来場者の前で読み上げ、報道関係者にも配布いたしました。

記念講演会|18:00–20:00

阿古智子氏(東京大学大学院教授)、吾爾開希氏(八九民運の学生指導者)、伍雷氏(元中国人権派弁護士)、潘嘉偉氏(Asian Lawyers Network 理事/HRMI East Asia Engagement Lead)、田中サウト氏(日本ウイグル協会副会長)、アリヤ氏(ダライ・ラマ法王日本代表事務所代表)、北井大輔氏(アムネスティ・インターナショナル日本)、笠井哲平氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)、董鵬氏ほか、9名の方々が、それぞれの場所から香港・六四・人権の今について語ってくださいました。

なかでも、八九民運の学生指導者であった吾爾開希氏は、「鄒幸彤さんのために公開作供する」というかたちでご登壇くださいました。鄒さんが香港の支聯会案の最終弁論において、吾爾開希氏ら八九民運の親歴者を法廷に証人として申請したものの、香港の法廷はこれを却下していました。法廷で問われることがなかった証言を、東京で、公衆の前で、吾爾開希氏はご自身の言葉で語ってくださいました。

獄中の鄒幸彤さんからのメッセージ

当夜、いま香港・大欖(タイラム)女子監獄の独房に収監されている鄒幸彤さんから、本展へ向けた声明文が届きました。私たちはその全文を会場で読み上げ、来場者および報道関係者にお手渡しいたしました。

鄒さんは6月3日夜、6月4日の37周年に合わせて、37時間にわたる絶食を獄中で開始しました。「沈黙することを拒む」ためであると、書面に明記されています。

声明文のなかで、鄒さんはこう述べています。

「中国政府がもっとも恐れているのは、人々が忘れることを拒むこと。そして、その恐れにいまや加わったのは、私たち民衆が沈黙することを拒んでいることである。」 「私たちが忘れることを、そして沈黙することを拒むがゆえに、彼らは私たちを牢に閉じ込めた。」

支聯会案の裁判については、こう書かれています。

「あれは、支聯会と被告に対する裁判ではない。あれは、本質において、何百万もの香港人の良心に対する裁判であり、香港の司法そのものに対する裁判である――国家安全諸法のもとに置かれたこの新しい時代に、香港の法治にどれだけの命が残っているかを試す試金石である。」

そして、メッセージはこう結ばれます。

「権力と独裁の輝きの裏には、ふつうの人々の血と、砕かれた夢があることを、どうか忘れないでください。健忘のなかにこそ、民主主義の終焉があります。彼らは私たちを牢に閉じ込めることはできても、私たちの魂までは支配できません。」

声明文の全文(英文原文・日本語訳)は、近日中に当ウェブサイトにて公開予定です。

追悼キャンドルナイト|20:00–20:30

引き続き同じ会場で、追悼キャンドルナイトを実施しました。一本一本の蝋燭を灯しながら、1989年6月4日に命を失った方々、30年以上にわたってその記憶を守り続けてきた香港の市民社会、そして獄中で絶食を続ける鄒幸彤さんに、静かな時間をともに過ごしました。

メディアの取材

当日は、NHK、TBS、テレビ朝日、日本テレビ、日本経済新聞をはじめ、複数の媒体にご取材いただきました。雨のなか会場まで足をお運びくださった皆さま、そして香港の人々が30年以上にわたり守り続けてきた記憶を、日本の視聴者・読者の皆さまへつないでくださっている報道関係者の方々に、心から感謝申し上げます。

写真展は6月7日(日)まで開催中

本展《記憶が罪に問われるとき》は、6月7日(日)まで、入場無料で公開しています。

会期:2026年5月27日(水)–6月7日(日)
会場:早稲田奉仕園 スコットホールギャラリー(東京都新宿区西早稲田2-3-1)
入場:無料 ▼ 開館時間:平日 12:00–15:00/16:30–19:00、土日 12:00–19:00、最終日(6/7) 12:00–17:00
最寄駅:東京メトロ副都心線「西早稲田」徒歩約3分/東京メトロ東西線「早稲田」徒歩約7分

詳細:展示の特設ページ


この先のこと

支聯会の元正副主席である李卓人、何俊仁、鄒幸彤の3氏の裁判は、2026年5月19日に最終陳詞が結審しました。鄒幸彤さん本人の声明文によれば、判決は7月、もしくは8月に予定されています。

本展は、その判決の前に、香港の市民社会が30年余にわたって遺してきた記憶の仕事と、現在進行形の力学を、東京という場所で問い直す試みです。判決の日まで、そしてその先も――この問題への変わらぬご注目を、引き続きお願い申し上げます。

雨と風のなか、私たちと共に過ごしてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。

香港で消えゆく語彙を、まだそれが流通する日本語の場へ。 昨夜、その記憶は、確かに東京で受け止められました。

そして、獄中の鄒幸彤さんの声は、海を越えて、私たちのなかにたしかに届きました。

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