八九・六四天安門事件37周年記念展


香港・六四・国家安全―記憶が罪に問われるとき

■ 会期・会場
2026年5月27日(水)― 6月7日(日) / 早稲田奉仕園 スコットホールギャラリー


「⁠一九八九年、人は抗議したことで罰された。
二〇二六年、人は記憶し続けたことで裁かれている。⁠」

■ 展示について About

毎年、維多利亞公園で行われる六四燭光集会に参加するということは、「六四の名誉回復」を求める香港人の信念を体現するだけでなく、数世代の香港人にとって、自らに固有の集合的記憶へと次第に転化していった。維園の外側でも、1989年から2020年までの31年間、香港社会は天地を覆すような変遷を経験した――北京の学生運動への支援、主権移譲、国民教育反対、本土主義思潮の台頭、雨傘運動、反送中運動、そして国安法の立法へと至る。

動揺と不安の続く局面において、香港社会の内部では、アイデンティティから将来の進路に至るまで、激烈な議論と対立が浮上した。その中で唯一、支聯会が掲げた五大綱領のみが、嵐の中の木筏のように――自身の存立すら危うく、前途も茫漠としていながら――その方向を一度も変えることがなかった。その綱領が担ってきた言葉――民主、法治、制度、責務――は、その時々の政治と社会の環境によって繰り返し試されながら、現実の実践の中でその価値の在り方を見出してきた。

2020年「港区国安法」が施行されて以降、長い歳月の洗礼を受けてきたこれらの言葉が、突然、国家安全への脅威の証拠として再解釈され、支聯会の幹事たちと共に法廷へと持ち込まれた。記憶することそのものが、罪に問われる時代に入った。

本展は、香港市民社会が30年間にわたって保存し続けてきた1989年6月4日「八九六四」の記憶の仕事と、現在進行中の支聯会裁判の現状を、歴史的アーカイブとして提示する。その目的は事件そのものを追悼することではなく、記憶を守る闘いの中から、後の世代に継承可能な価値の範例を整理することにある。

東京で本展を開催する意味は、これを「香港のこと」として伝えるためではありません。香港で消えつつある語彙を、まだそれが流通しうる日本語の容器に、可読な形で移し替えるためです。同時に、2010年代以降の香港が通った道筋は、いまの東京と無関係ではない ― 本展はその認識のもとに行われます。

構成 Chapters

第1章 1989年 ― 事件と命名

1989年の運動の経過を、必要最小限の事実とともに提示します。事件そのものと、それをどう名づけるかをめぐる争いが、この章の主題です。命名をめぐる対立は1989年に始まり、現在も続いています。

第2章 香港 ― 最後の公共空間

事件の記憶を、香港の市民社会が30年にわたって公に語り継いできた仕事を、ひとつの公共実践として提示します。年次集会、団体活動、紀念施設、教育活動 ― これらの持続そのものが、この地域における民主的語彙の維持装置として機能してきました。

第3章 法廷に立たされる言葉

2020年以降、公の場で長く使われてきた語彙が、法廷において再解釈されています。「同じ言葉が、同じ人々によって、長く使われたあとに、ある時点から犯罪の証拠とされる」 ― この転換を、資料の配置を通じて辿ります。

第4章 誰の記憶か

香港で起きたことは、他者の閉じた物語ではありません。本章は、来場者自身の現在の位置を、静かに見つめ直すための空間として用意されます。


関連連載|支聯会と六四の30年

本展の開催と並行して、香港では「香港市民支援愛国民主運動聯合会」(支聯会)とその元幹部・李卓人、何俊仁、鄒幸彤に対する国家安全法関連の裁判が進行中です。2026年1月22日に開審、5月18日からは結案陳詞(最終弁論)の段階に入っており、判決は香港における言論、集会、追悼、政治参加の境界線を左右する重要な指標となる見込みです。

本連載は、1989年の支聯会設立から現在の法廷闘争まで、5回にわたって整理しています。本展示の前後でお読みいただくことで、各章の背景がより立体的に立ち上がります。

連載目次

第一回 1989年 支聯会発足、香港で広がる民主化支援

第二回 1990年以後 六四の記憶をつないだ支聯会

第三回 国安法施行後 狭まる社会空間、法廷へ移る争点

第四回 李卓人、何俊仁、鄒幸彤 支聯会を担った三人

第五回 支聯会事件裁判 法廷での争点


■ プログラム Program

写真資料展

会期 2026年5月27日(水) ― 6月7日(日)
開館時間
 平日 12:00 – 15:00 / 16:30 – 19:00
 土日 12:00 – 18:00
 6/3  12:00 – 15:00 / 16:30 – 18:00
 最終日(6/7) 12:00 – 17:00
入場 無料
会場 早稲田奉仕園 スコットホールギャラリー

記念講演会

日時 2026年6月3日(水) 開場 17:30 / 開演 18:00 / 閉会 20:30
会場 早稲田奉仕園 スコットホール(講堂・定員200名)
入場 予約不要・入場無料

開会挨拶 牧野聖修 元経産副大臣 元衆議院議員
司会  井出慶太郎、王進忠

登壇者(敬称略 ・ 順不同)

  • 阿古智子 東京大学大学院教授

  • ウーアルカイシ 吾爾開希  六四天安門事件学生指導者

  • 伍雷  元中国人権派弁護士

  • 潘嘉偉  Asian Lawyers Network (ALN) 理事 / Human Rights Measurement Initiative (HRMI) East Asia Engagement Lead

  • 田中サウト 日本ウイグル協会副会長

  • アリヤ  ダライ・ラマ法王日本代表事務所代表

  • 北井大輔 アムネスティ・インターナショナル日本・中国チーム

  • 笠井哲平 国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ アジア局シニア・プログラムオフィサー

  • 李伊東 レイディー・リバティー香港 代表理事 / 一橋大学大学院法学研究科 客員研究員

  • 声明文発表 中国民主化運動声明文 (朗読:董鵬)

※ 追加登壇者は決定次第、ウェブサイトにてお知らせします。

追悼キャンドルナイト

日時 2026年6月3日(水) 20:00 – 20:30
会場 早稲田奉仕園 スコットホール(講演会と同会場・地続きで開催)
入場 予約不要・入場無料



■ 会場・アクセス Venue / Access

 

早稲田奉仕園 スコットホール/スコットホールギャラリー
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目3-1

最寄駅
 東京メトロ副都心線「西早稲田」 徒歩 約3分
 東京メトロ東西線「早稲田」 徒歩 約7分

ウェブhttps://www.hoshien.or.jp/

■ 主催・構成団体 Organizers

主催 天安門事件追悼実行委員会

構成団体(順不同)

  • Lady Liberty HK

  • アムネスティ・インターナショナル日本

  • アジアと中国の民主化フォーラム

  • 民主中国陣線

  • 中国民主団結連盟

  • 対話中国日本支部

■ お問い合わせ

ご不明点は、以下までメールでお問い合わせください。
admin@ladylibertyhongkong.com

前へ
前へ

八九・六四天安門事件37周年記念展

次へ
次へ

『香港政治ニュースレター 2026年4月号』を発行しました!