【共同声明】中国「民族団結進歩促進法」の施行に抗議 ― チベット・ウイグル・南モンゴル・香港の民族団体が共同記者会見
2026年7月1日、中国「民族団結進歩促進法」が施行された当日、チベット、東トルキスタン(ウイグル)、南モンゴル、そして香港を代表する民族団体は、東京・新宿文化センターで共同記者会見を開き、本法に抗議する共同声明を発表しました。会見はセーブ・チベット・ネットワークの主催により開かれ、レイディー・リバティー香港も共同声明に名を連ねました。
共同声明は、本法が「団結」や「進歩」を掲げながら、実際には非漢民族のアイデンティティ・言語・文化・宗教を排除し、その消滅を推し進めるものであり、中国共産党による同化政策と民族地域への支配を制度化・正当化するものだと指摘しています。声明はまた、本法が中国憲法および「民族区域自治法」、さらに国連憲章と国際規範に反すると批判し、その統制が教育・言語・宗教・インターネット・企業活動など広範な分野に及び、国内にとどまらず国外へと拡大することへの強い懸念を表明しました。とりわけ、本法が「国境を越えた弾圧(越境弾圧)に法的根拠を与える」ものであると位置づけています。
声明はまた、本法を非難する声明を発表したヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官、および欧州議会、米国、英国、カナダ、チェコ、オーストラリア、スイス、バルト諸国の議員らへの謝意を示しました。日本においても、超党派の四つの議員連盟が本法を「民主国家として到底容認できない」と非難する声明を前日の記者会見で発表しており、声明はこれに深い感謝を表明しています。
レイディー・リバティー香港の代表理事アリック・リーは会見で、7月1日が香港の主権移譲29周年、そして香港国家安全維持法の施行6周年にあたることに触れました。国家安全法の施行から6年で香港の市民社会が徹底的に押しつぶされたにもかかわらず、なお新たな立法が重ねられていることを指摘したうえで、本法の本質は域外での訴追にとどまらないと述べました。すなわち本法は、血統によって海外に暮らす人々までも「中華民族共同体」の成員とみなし、そこからの離脱を認めません。これは香港人やチベット・ウイグル・モンゴルの人々だけの問題ではなく、日本を含む受入国が、自国に暮らす人々を守るという主権そのものへの挑戦である――リーはそう訴えました。
本法の構造と、それが離散社群および受入国にもたらす含意については、当連盟が公開した政策ブリーフ「域外的弾圧を超えて」で詳しく分析しています。あわせてご覧ください。
共同声明全文
中国の「民族団結進歩促進法」に抗議する共同声明書 2026年7月1日
私たちチベット、東トルキスタン、南モンゴル、香港を代表する人々は、本日7月1日、日本の兄弟姉妹の皆さまと共に、中国共産党が制定した「民族団結促進法」に抗議するため、ここに集まりました。
この法律は「団結」や「進歩」のためのものではなく、非漢民族のアイデンティティ、言語、文化、宗教を排除し、その消滅を推進するものです。また、これは中国共産党による同化政策を正当化し、民族地域への違法な支配と占領を制度化し、正当化するために制定された法律です。
この法律は、中国共産党が推進する「中華民族共同体」の形成を目的としたものであり、中国人を中心に据えたものです。そこにはチベット人、ウイグル人、モンゴル人、香港人をはじめとする非漢民族の人々の権利や利益は存在していません。
最も憂慮すべきことは、この法律が中国憲法および、非漢民族地域の自治と独自性を保障する「民族区域自治法」に違反している点です。さらに、この法律は国連憲章および国際社会の基本的な規範にも反しています。これは、中国共産党政権が国内法や国際法を顧みることなく、それらを平然と無視する大胆な姿勢を示しています。
この法律は、「中華民族共同体意識」の強化を国家全体の任務とし、教育、言語、宗教、インターネット、企業活動など幅広い分野を統制対象としています。さらに中国共産党による同化政策と統制を国内外へ拡大するものです。私たちは、この法律が国境を越えた弾圧に法的根拠を与え、民主主義を基盤とする国際社会の言論・表現の自由を脅かすことを強く懸念しています。
私たちは、この法律を強く非難する声明を発表した国連人権高等弁務官ヴォルカー・ターク氏に深く感謝いたします。また、この法律を非難し、中国政府に対してその廃止を求めた欧州議会、米国、英国、カナダ、チェコ共和国、オーストラリア、スイス、バルト諸国の国会議員らをはじめとする国際社会の皆様にも感謝申し上げます。
さらに、日本においても、超党派の四つの議員連盟が本法を「民主国家として到底容認できない」と厳しく非難する声明を発表されました。私たちは、この力強いご支持に深く感謝するとともに、昨日の記者会見において共同声明を発表された古屋圭司議員、山谷えり子議員、山田宏議員、石橋林太郎議員をはじめ、四つの議員連盟の皆様に心より御礼申し上げます。
私たちは国際社会に対し、この破壊的な「民族団結促進法」を断固として非難し、中国政府に対して同法の廃止を求めるよう強く要請します。
また、報道関係者、日本国民、日本政府、国会、および議員連盟を始めとする支援者の皆様に対し、この法律を非難し、中国政府にその廃止と国連憲章および国際規範の尊重を求める力強い声明を発表されるよう要請します。
以上
牧野聖修 セーブ・チベット・ネットワーク 代表
アリヤ・ツェワン・ギャルポ チベットハウス・ジャパン 代表
レテプ・アフメット 日本ウイグル協会 会長
オルホノド・ダイチン 南モンゴルクリルタイ 共同代表
アリック・リー レイディー・リバティー香港 代表理事