「忘却を拒む」――天安門母親・張先玲さんからの六四37周年メッセージ〔日本語字幕版〕

1989年6月4日、北京で起きた天安門事件によって、息子・王楠さんを銃弾で失った母、張先玲さん。今年88歳。彼女は、犠牲者の遺族たちが結成した民間グループ「天安門母親(Tiananmen Mothers)」の中心メンバーの一人として、30年以上にわたり、息子をはじめとする犠牲者の名誉回復、政府による公式の謝罪、そして法的手続きに則った賠償を求め続けてきました。

六四37周年にあたって張先玲さんが寄せてくださったメッセージを、日本語字幕版にてお届けします。


メッセージの最後で、張先玲さんは「天安門母親」が掲げてきた四つの言葉を改めて読み上げます――「真実を語り、忘却を拒み、正義を求め、良心を呼び覚ます」

この四語は、本展《香港・六四・国家安全――記憶が罪に問われるとき》の背骨でもあります。香港の市民社会が30年以上にわたって守り続けてきた六四の記憶は、国家安全維持法のもとで「罪」とされ、いま法廷に立たされています。北京の母たちが沈黙を強いられながらも声を上げ続けてきた地平と、香港の市民社会が積み上げてきた地平は、ひとつの長い記憶の闘いとして、たしかにつながっています。

「⁠『法治』を掲げる大国として、執政当局と最高の民意代表機関――全国人民代表大会――は、過去の罪行に勇気を持って向き合い、対話の方式を採用し、『六四』という避けて通れない一線を、一歩ずつ解決すべきです。」⁠」
— 張先玲

メッセージ全文(日本語訳)

尊敬する皆さま、ご来賓の女性のみなさま、男性のみなさま――

今日は、中国・北京「六四」惨案37周年の記念日です。37年前、中国政府によって残虐に殺害された、平和的に示威を行っていた市民と学生を悼むため、ここにお集まりくださったことに感謝申し上げます。私は張先玲、今年88歳になります。犠牲者の遺族として、また「天安門母親」の一員として、さらに「天安門母親」のみなさまを代表して、各位に心からの感謝を申し上げます。37年もの長きにわたって、あの血なまぐさい虐殺を糾弾する声を上げ続けてくださったこと、そして人民のために命を賭して街頭で血を流した善良な人々を忘れずにいてくださったこと――本当にありがとうございます。

当時の中国は改革開放が始まったばかりで、汚職と腐敗の芽が芽吹き始めていました。物資の価格二重制度(双軌制)と社会の不公正により、権力や縁故を持つ者が暴利を貪る一方、一般市民は高騰する物価や住宅価格に深い不安を抱いていました。民の怨みは沸き返り、人々の不満は募るばかりでした。そこで大学生たちは毅然と立ち上がり、民意を代表して、平和的な示威の方式で政府に対策を求め、汚職と「官倒」に反対したのです。当時、「腐敗」は「官倒」と呼ばれていました。物資の価格二重制度のもとでは、権力者・実力者・縁故を持つ者だけが物資を転売して暴利を上げることができたため、それを「官倒」と称したのです。

学生たちの行動は、広範な市民、機関、団体の支援を得ました。皆が誠実な願いを抱き、政府がこの種の現象の蔓延を食い止める措置を取ることを期待していました。ところが思いもよらないことに、当時の執政当局は人々の声に耳を傾けるどころか、数十万の野戦軍を動員し、銃を構え、装甲車を駆って、平和に示威を行っていた市民と学生を血みどろに鎮圧したのです。その結果、夥しい数の死傷者が出ました。一瞬のうちに、数千、数万の家族が、致命的な打撃を受けました。

あの夜、北京にいた人々は、耳をつんざく銃声、装甲車の轟音、救急車のサイレン、そして人々の怒りの叫びを、いまもなお忘れることはできません。私たちは、家を出ていく肉親の姿を、なおさら忘れません。「人民に奉仕する」と自称する政府が、人民に向かって発砲を命じるなど、誰が想像したでしょうか。

肉親たちの犠牲は、私たちの心に永遠に消えない傷として刻まれています。涙はすでに流し尽くし、悲しみは胸の奥に深く埋めました。残されたのは、肉親への永遠の慕情と、人民を虐殺した罪行への痛恨です。それはむしろ、私たちが闘い続ける勇気を強め、「六四」惨案の犠牲者に対する公正・公平な評価と、法的手続きに則った謝罪と賠償を求める決意を、いっそう強めてくれるのです。

今日、情報は十分に発達しています。真相を知ろうとさえ思えば、ネット上には、学生や市民の平和な示威の場面、そして示威者を虐殺した血まみれの現場資料が、数多く、極めて全面的に残されています。

「法治」を掲げる大国として、執政当局と最高の民意代表機関――全国人民代表大会――は、過去の罪行に勇気を持って向き合い、対話の方式を採用し、「六四」という避けて通れない一線を、一歩ずつ解決すべきです。

遺族である私たちは、必ずや「真実を語り、忘却を拒み、正義を求め、良心を呼び覚ます」を貫いていきます。肉親たちのために公道を取り戻し、犠牲となった魂の在天の御霊を慰めるために――。

王楠の母 張先玲 2026年6月4日


本展《香港・六四・国家安全――記憶が罪に問われるとき》は、東京・早稲田奉仕園 スコットホールギャラリーにて、2026年6月7日(日)まで公開しています。会場では、香港市民社会が30年にわたって守ってきた記憶の仕事と、現在進行中の支聯会裁判の現状を、写真・文書・展示パネルを通じて辿ることができます。

展示の特設ページ:https://llhkjp.org/activity/64-37-exhibition

日本語字幕:レイディー・リバティー香港

■ 会場・アクセス Venue / Access

 

早稲田奉仕園 スコットホール/スコットホールギャラリー
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目3-1

最寄駅
 東京メトロ副都心線「西早稲田」 徒歩 約3分
 東京メトロ東西線「早稲田」 徒歩 約7分

ウェブhttps://www.hoshien.or.jp/

■ 主催・構成団体 Organizers

主催 天安門事件追悼実行委員会

構成団体(順不同)

  • Lady Liberty HK

  • アムネスティ・インターナショナル日本

  • アジアと中国の民主化フォーラム

  • 民主中国陣線

  • 中国民主団結連盟

  • 対話中国日本支部

■ お問い合わせ

ご不明点は、以下までメールでお問い合わせください。
admin@ladylibertyhongkong.com

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八九・六四天安門事件37周年記念展《記憶が罪に問われるとき》、東京・早稲田で開幕しました

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六四を記憶した香港——支聯会と追悼の30年|37周年記念展 特別映像